長走風穴地下氷観測の結果

冷風をもたらす風穴の地下氷はいつできる?

 大館市には風穴現象が見られる場所が5カ所あります。このうち、最も知られている風穴が国天然記念物の長走高山植物群落がある長走風穴です。夏に冷たい風を吹き出すため、かつて、風穴倉庫が造られ、津軽リンゴの貯蔵などに使用されてきました。
 さて、どうして夏に冷たい風が吹き出すのでしょうか。この原因は風穴の地下で見られる氷にあります。では、この地下氷は一体どの時期に作られるのでしょうか?
 この謎に迫るため、大館郷土博物館は、福山市立大学と共同で、地下氷がいつ成長して、いつまで残るのか、風穴倉庫で定点観測を行い、その時期を詳細に調べました。
 結果の概要は下記のとおりです。

インターバル撮影による定点観測

 風穴倉庫内の壁を90分間隔で自動撮影し、地下氷が生成される様子を連続的に捉えることに成功しました。この結果、風穴の地下氷は融雪が進む春季に急成長することが分かりました。

期間:2012年3月28日15時30分~6月1日23時00分 (1046枚)

氷の厚さの観測

 倉庫内(地下)に作られる氷の厚さをおおよそ10日単位で測定しました。
 4月上旬から4月中旬にかけて氷の厚さが急激に増し、6月下旬まで約20cmの厚さを維持しました。その後徐々に薄くなり8月中旬には消えました。なお、同じ倉庫内の壁の隙間には、9月11日まで氷が見られました。

観測期間:2012年3月~9月
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地下空隙(風穴倉庫)の温度

 風穴倉庫(地下空隙)の温度を1時間毎に測定しました。
 冬季は外気温と連動して変動し、夏季はほぼ一定の0℃で推移することが分かりました。夏季は外気温が30℃の時でも風穴からは0℃の冷風が吹き出しています。
 倉庫内の年平均温度は氷点下1.1℃で、北緯40度、標高193mの地としては、極めて低い温度環境にあることが明らかになりました。年間の最高温度は11月に現れました。

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 図.風穴地下空隙(2号倉庫)の温度と外気温の年変化 2012年

 

 表.風穴地下空隙(2号倉庫)の温度と外気温の年統計値 2012年 単位:℃

  年平均値 年最高値(記録日) 年最低値(記録日)
風穴地下空隙(2号倉庫) -1.1 4.9(11/4) -11.2(11/5)
外気(風穴館周辺) 8.8 32.9(9/17) -12.7 (1/11、1/29)

解説)
 冬季は外気温と連動して変動しました。これは風穴(斜面下方の冷風穴)地では冬季に地上から地下へ外気を吸い込むことによるものです。
 夏季はほぼ一定の0℃で推移しました。外気温と無関係に一定の温度を示すのは、地下から地上に空気が吹き出し、日変化の少ない地下の温度が反映されているためです。また温度が0℃と極端に低いことは、風穴の地下に氷があることを示唆します。

観測資料

 2012年度長走風穴地下氷観測資料 (2013.3発行) [PDF: 9.7MB]

参考

 長走風穴高山植物の概要としくみ

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